出会い口説きALLOK

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婚活ハイキングに参加した

婚活ハイキングに参加することにした。東京の西のはずれ、高尾山に登りながら出会いのきっかけをつかむ、変わり種のイベントだ。オレのイメージでは、アウトドアが好きな女性は心が美しいような気がする。40才の独身男を見下したりしない、そんな印象があるのだ。当日の昼、高尾山へ向かう電車の中で、ある美人の女性が目にとまった。20代半ばだろうか。たった1人で座席に座り、せわしなくスマホをいじっている。
スタイルはリュックにスニーカーと、これから山に登ることは明らかだが、ひとりっきりなのが引っかかる。こんな美形が単独で高尾山に登るだろうか。これはよもや、オレと同じハイキングのメンバーなのでは?彼女はオレと同じ終点で降り、改札を抜けていく。向かった先は、なんと予想どおり婚活ハイキングの受付だった!
受付の周りには20代と思しき男女が30人ほど集まって、談笑していた。なかなかのハイレベル集団だ。誰を狙うか目移りしてしまう。これは楽しいハイキングになりそうだぞ。オレもさっそく仲間に加わろうと、受付へ。
「予約した赤澤ですけど」
「はい、アカザワさん、アカザワさん…。あれ、ないですね」
ノートを見ながら主催者の男が言う。んなわけないだろ、もう金も振り込んだのに。
「ひょっとしてあちらじゃないですか?」
男が指差したのは、すぐそばでボードを手に立っているあんちゃんだった。
「あちらも同じ趣旨の業者さんなんですよ」 あんちゃんの周辺には、どう見てもアラフォーの男女が数人、所在なさげに立っている。え、あいつらと一緒なの?
案の定、赤澤慎吾の名前はアラフォーハイキングのほうに登録されていた。てことは、電車のカワイ子ちゃんとは完全別行動ってことか!
のっかけらこんなトリックに引っかかるなんて、神は赤澤をからかっているのか。
お隣の、だるーんとした空気の中で突っ立ていたメンバーはおよそ10人。まずは円陣になって簡単な自己紹介からスタートした。
伏し目がちに顔ぶれを眺めてみる。いた。一人だけ美形と言ってもいい女性がまぎれている。年齢は30代後半か。本音ではもう少し若い子がいいが、オレも夏で41、ぜいたくは言ってられない。
「野宮といいます。品川のほうから来ました。よろしくお願いします」
彼女の挨拶に含まれていた、ある重要情報をオレは聞き逃さなかった。
「品川のほう」ってことは帰りが一緒じゃないか。他の連中は埼玉だ、調布だとのたまってるので、最後の最後に2人きりになることがさっそく約束されたことになる。しめしめ。全員の紹介が終わり、男女2列になってハイキングがスタートした。隣のペアを入れ替えながら、ぺちゃくちゃしゃべりつつ登っていく。野宮さん以外のブスを軽くうっちゃりつつ歩くうち、とあることに気づいた。野宮さんのケツがかなりパッツンパッツンしていて、非常にソソるのである。若いころは尻になど興味はなかったが、オレも歳を食ったってことか。もうブスとしゃべるのはやめて、あのケツだけを眺めて歩くとしよう。山頂付近の土産物売り場で、ようやく野宮さんとペアになった。
「はじめまして、赤澤です。品川の野宮さんですよね」
「あ、覚えてくれてたんですか」
「はい、僕は目黒なんで、近くていいなと思って」
「へー、そうなんですね」
ご近所アピールをしながら、近くのベンチに腰を下ろす。他のペアたちもすぐそばにいるため、野宮さんが声をかけ、自然と集団での会話となった。
「美容院でシャンプーするとき、顔にガーゼ置かれるのかゆくない?」
「あーわかるわかる」
ティッシュのときもありますよね」
「息したら飛んでいきますよね〜」
「そうそう(笑)」
以上、どれが誰のセリフかはどうでもいいとして、とにかくこのようなクソしょーもない会話が展開された。もちろんオレはアホらしくて黙ったままだ。それにしてもこんな話題で婚活しようとしている男どもには、ほとほとあきれてしまう。すっかりハゲ上がったおっさんや、対人恐怖症みたいな男が、こんなにくだらない会話でどうオトすつもりなのだ。女性たちの愛想笑いにもヘドが出そうだ。野宮さん、そんなのに付き合ってても時間のムダだよ。集団でガヤガヤと下山し(といってもオレはその集団から離れて歩いたのだが)、とにもかくにも元の駅に到着した。さあ勝負はここからだ。最後にみんなでお疲れ様を言い合い、カップリングタイムもなく、解散だ。すかさず野宮さんの元へ。「そこの喫茶店でお茶でもしましょうか」
「あ、そうですね。みんなも誘いましょうよ」
みんなは不要だっての。あなたはいつも、そうやって他人を巻き込むんだから。また美容院のガーゼの話でもすんのかよ。が、ここは紳士的でいるしかない。ゾロゾロと7人ほどで駅前の喫茶店へ。会話は、本日のメンバーの中で最もうるさく、そしてすべりまくっている男が中心となって展開した。
「俺、こういうの何度か参加したんだけど、なかなか上手くいかないんだよね」
そりゃそうだよ。うるさいもん。
「バスツアーにも行ったときにライン聞いたりしたけど、誰ともつながってないんだよね」
そりゃそうだ。つまんないもん。いやはや、この場でマイナスアピールをしてくるなんて、こいつは一生独身決定だな。そうこうするうち日も暮れかけてきたので、本当の解散となった。とりあえず全員で電車に乗り、ひとり、またひとりと途中駅で下りていく。最後まで残ったのは、野宮さん、ハゲ、そしてオレの3人だ。ハゲは埼玉在住だから、新宿駅で離ればなれになるはず。そこから野宮さんとオレが2人で山手線に乗るわけだ。本格的に口説くのはそこからにしよう。午後7時ごろ新宿駅に到着した。京王線の改札を出て、さあ、やっと2人きりに…。そのタイミングで、ハゲが野宮さんに声をかけた。
「ちょっと3分だけいい?」
そしてオレにも一声。
「ごめん、3分だけ野宮さんと話させて」
そう堂々とお願いされて立腹するほどオレも子供じゃない。駅の柱にもたれて会話が終わるのを待つことにした。どうせラインの交換でもしてるんだろう。
ほんの数メートル先の2人の様子をちらっと見てみる。あいかわらず大きなケツの彼女は向こう側を向き、ハゲがその頭に顔を近づけるようにしてなにごとかしゃべっている。近いよ、あんた。早く埼玉に帰れって。しばらくして野宮さんがひとりでオレの元へ来た。うん、さあ一緒に帰ろう。
「ごめんなさい。少し飲んでいくことになりました」
え!
「また連絡します。じゃ」
そう言うや、ハゲと一緒に地上への階段を上っていく彼女。なんだこれは。最後の最後で、こんなみっともないフラれ方をするなんて!ひとり山手線に揺られながら考えた。最後のあのハゲの行動についてだ。ライバルである男に対し、堂々と3分くれとお願いし、その目の前で真正面から口説くあの精神力。オレが持っていない種類のパワーだ。
あの場面、野宮さんの社交的性格ならば、「飲むなら赤澤さんも一緒に」となりそうなものだが、それをさせなかったあたりにも、ハゲの強引な男らしさを感じる。完敗だ。婚活には髪の量なんて関係ないんだな。美容院のガーゼの話題でも構わないんだな。あぁ、でもあのケツをハゲが撫でてると思うと胸が痛い。