出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです

ナンパ即デートとうまく言った理由は・・・

深夜1時。地元のファミレスに向かった。ドリンクバーのそばに陣取って様子を伺っていると、一人の女がグラスを持って歩いてきた。
「あのー、このマンガの意味わかりますか?」
 例のごとく『コボちゃん』作戦だ。
「えっ、はい。何ですか?」
 マンガをのぞきこむ彼女。よし、食いついたぞ。
「どうですか、わかります?」
「うーん。これは……」
 ちょっと間があってから、彼女がぱっと顔をあげた。
「そういうことか」
「わかったの?」
「たぶんこれは」
 あーだこーだと説明が始まった。うん、なるほどね。「すごいね。感心するわ」
「いやいや」
 彼女がまんざらでもなさそうな表情を浮かべて戻っていくのを、急いで追いかける。
「あ、すみません」
「はい?」
「もうちょっとしゃべりたくなっちゃって。座っていいですか」
「あ、いいですよ」
 わお、いいノリだね。
 彼女がテーブルのアイパッドをしまい始める。
「あ、何見てたんですか?」
吉田松陰電子書籍を」
 ヨシダショウイン? ちらっと見ると、人生はこう歩きなさい、みたいなことが書いてあった。
「よく本読むの?」
「まあそこそこ。知り合いに薦められたりして。仕事の考え方につながったりするんで」
 ふーん、偉いねえ。
「おにーさんは、何が好きなんですか?」
「ぼくはまあ仕事かな」
「仕事頑張ってるのはいいことですね。将来どういうことしたいんですか?」
「まあ頑張って金持ちになりたいなあ」
「いいですね」
 適当に話を合わせること1時間、そろそろ誘ってみるか。「よかったら、近くのバーに飲みにでもいきませんか?」
「うーん、今日はごめんなさい。でもまたお会いしたいです」
 ん? お会いしたいって? いいですよもちろん。
 その夜、ラインで、
〝さっきはどうもありがとう。またいろいろ話しましょう。よろしくです〞
 と送ったら、感触のいい返事が戻ってきた。
〝おつかれさまです。楽しかったです。まさかのコボちゃんからの出会い(笑)。夜は遅い時間だとだいたい暇してるのでまた☆〞
今回の深夜ファミレス作戦は、さみしい一人ぼっち状態から、外へ連れ出しーの、部屋に行くなり招くなりしーの、という流れを考えていたのだが、ま、日を置いてからの攻略だって構わないだろう。
 わずか2日後、地元の駅前で待ち合わせした。彼女は会うなりニコニコ笑っている。
 まずは居酒屋に入る。
「今日もお仕事疲れました?」
「そうだね」
「仕事は大変ですもんね」
「まあ食ってかなくちゃいかんしね」
「でもやりがいとかも大切でしょ?」
「やりがい? 確かにね…」
「やりがいは大事ですよ。活動的な人っていいと思います。なんか前向きだし」
 ずいぶん誉めてくれるね。これは気がある証拠だね。「ところで野口さん(彼女の名前)って彼氏はいるの?」
「いないですよ」
「どれくらい?」
「えー、別にいいじゃないですか…」
「え、どれくらい?」
「なんでそんなこと聞くんですか」
なんだかノリが悪いな。普通は聞くだろそれくらい。
「そんなことより夢を聞かせてください」
「夢?」
「何かないんですか、将来の夢とか」
そんなこと言われてもなー。今さらヤンキースに入れるわけでもないし。ほとんど恋バナができぬまま、1時間ほどで居酒屋を出た。
「ちょっとツタヤ寄っていいかな?」
 オレの部屋はすぐ近くだ。DVDを借りて、一緒に観る口実で連れ込んでやる。ツタヤに入ったところで、彼女がライオンキングを強く薦めてきた。
「ライオンの子供が王様になるために、いろんな試練を乗り越えていくんですよ。自分の見たくない、過去や現実があったとして、見て見ぬフリをするのはラクですよね。でもそれでは自分の身にならないんですよね」
 何をあれこれ語ってるんだ。わかったよ、それ借りて一緒に観ようぜ。
「男の人の家に行くなんてダメですよ」
「ヘンなことはしないよ」「でも、男の人ってオオカミって言うじゃないですか」
「しないって」
「でも、私はいい関係でいたいから、やっぱりそういうのはダメですよ」
 押し問答の末、またファミレスへ舞い戻ることになった。
 席に座るや、彼女が妙なことを言い出す。
「私、去年の春ごろまで普通のバイトをしていて、もう実家に帰ろうと思ってたんです。でも7月に、ある人たちにあったんです。その人たちは、2億とか稼いでるし、紹介したいの。簡単に言うと、権利商売なんだけど…」
え、こいつマルチだったの!?うわー、そうか。だからファミレスで一人、自己啓発本なんか読んでやがったのか!深夜のファミレス、油断がなりません。どこか闇を抱えている女しかいないのかも。マトモな女だったらさっさと家に帰るっしょ。