出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです

もてない男・選ぶ側だと勝手に思っていた勘違い男

こたつに潜りこんだ母親が言う。
「あんた、今年は結婚すんの?」
「いや、ないやろ」
 その短いやりとりだけで、母親はすべてを察したらしく、黙り込んでしまった。30代での結婚はないと断言され、ちょっと沈んでしまったのかもしれない。年末年始の楽しい時期のはずなのに、今回はたいした出来事がなかったので、愚痴をこぼさせてほしい。実は最近、自分がウツ病なのではないかと思うようになった。毎日、1分1秒、どこを取っても楽しくないのだ。まずすべてを投げ出したい気分が日に日に高まってきていて、それだけでも憂鬱きわまりない。朝7時に起きて会社に向かい、帰りは深夜。寒い部屋の電気ストーブをつけて、ただ寝るだけ。いったい何のために生きているのか。
 かといって、高校や大学時代の友人が、奥さんや子供と一緒に一軒家に住んでいる話を聞いても、まったくうらやましいとは思えない。メンドクセーと感じるだけだ。性欲も減ってきた。デリヘルを呼んでも、体をくっつけられるだけで気持ち悪くなってしまうのだ。売女が馴れ馴れしくしてくんなよ、と。
 モテるために8年前に購入した車も、とっとと売り払おうかと思っている。維持費が年間100万円以上かかるというのに、これまで助手席に乗ってくれた女性は3人のみ。しかも誰ひとりとしてオトせていない。コストパフォーマンス最悪である。まったく無駄な8年間だった。唯一、最近見つけたガールズバーに通うことだけは楽しみなのだが、彼女たちに連絡先を書いて渡してもメールが来たためしがない。店内では「ありがとうございます」なんて笑顔で応えるくせに。ちくしょー、こっちは通うのを止めてもいいんだぞ!ん〜〜。新年早々、どうしてこんなに後ろ向きなんだろう。やはりウツ病なのか。
 1月、東京に戻った直後、ずいぶん前に合コンで知り合ったブサイクな子から、紹介したい女の人がいるんだけどと誘いがあった。連れてくる女性は42才の眼科医だと聞いて、すぐに断ろうと思ったが、
「42には見えないよ。ほんとに」とのこと。とりあえず顔だけは拝見してやろうかと、出向いてみることにした。流行の美魔女ってやつか。さらさら期待はしていない。でも、もし眼医者が32くらいに見えるなら、それはそれで前向きに考えてもいいだろう。開業医ならお金も持ってるだろうし、結婚したら養ってくれるかもしれない。当日、居酒屋の個室で待つこと10分。遅れてやってきたのは、以前よりブスになったブサイクちゃんと、その母親らしき上沼恵美子のような50代の女性だった。え、なんでオカンを連れてくるの?
「遅刻してごめんなさい。あ、こちらが京子さんです」
 薄々、勘づいてはいたが、やはりこのおばちゃんが、今夜紹介してくれる眼医者だった。「42には見えないよ」という台詞がよみがえる。確かに、逆の意味で42には見えない。ブサイク&上沼恵美子を前にして、またウツ病が再発してきた。こんなおばちゃんを紹介しようとする女。おばちゃん容姿のくせに男を紹介してもらおうとする女。この二大失礼女ども、いったいどういうつもりなのだ。オレはなめられてんのか?
いつもなら、そう毒づきつつも、2時間程度はお付き合いする弱気なオレだが、今年は違う。もうこんなバカバカしい時間を使っている余裕は人生にないのだ。会って5分でオレは席を立った。
「ごめん、トイレ」
 そのままバイナラだ。ブサイクからがんがん電話がかかってきたが、ずっと無視してやった。もう二度と会うこともないだろう。この顛末を、大学時代の友人で、大手商社に勤務する男に話したところ、説教を食らってしまった。
「お前は回転寿司の客のつもりで、古いネタをスルーして、いい皿が回ってくるのを待ってるんだろうけど、逆だからな。お前は皿のほうだぞ。ひからびたネタだぞ。それでも客に取ってもらわなきゃいけないんだぞ」
 グウの音も出なかった。ずっと「選ぶ側」だと勝手に思っていたのに、実は皿のほうだったなんて。39才取り柄なしの皿なんて、百周ぐらい回ったカッパ巻きみたいなもの。最後にはゴミ箱行きだろう。ますますウツになってきた。