出会い口説きALLOK

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ブスは3日で慣れるという言い伝えは本当なのか前編

オレはブス専門ホテヘル『デッドボール』の風俗嬢と一緒に、二泊三日の旅行へ出かけた。「ブスは3日で慣れる」という言い伝えが本当なのかどうか調査するためだ。もし慣れるならば、今後の恋人作りにおいてもブスを排除しなくていいだろうという目論見だった。結果はてんでダメだった。3日経っても、ブスという認識になんら変化はなく、付き合ってもオーケーなんて気持ちはまったく湧いてこず。むしろブサ顔を見すぎて吐き気を催したほどだ。あれから4年、再度の調査を思い立ったのは、歳をとったことでオレ側の度量が増したはずだからだ。つまり、「ブスは3日で慣れる」は、ある程度の大人にこそ通用する格言なのかもしれない、と思ったわけだ。

検証方法は、前回と同じだ。二泊三日寝食を共にし、2日目までは慣れるために普通に過ごす。手出しはしない。そして3日目、ブスに慣れたかどうかを調べるため、肌で触
れ合ってみる。そこで愛情のあるセックスができれば「慣れた」とみなすという趣旨だ。すぐさまデッドボールの店長に電話をかけ、協力を打診した。
「じゃあ、アボットっていう女を派遣しますよ。歳は34。イイ感じだと思いますよ」
 イイ感じとは、もちろんパンチが効いてるってことだろう。アボットと言えば、生まれつきの右手欠損というハンディキャップを抱えたメジャーリーガー「ジム・アボット」を連想するが、まさか本人はサリドマイドなのか!?
 初日、夕方6時半。池袋の待ち合わせ場所でキョロキョロしていると、小太りでオッサン面で、前歯が何本かなく、赤いメガネをかけているという、冗談みたいなブサ女がやってきた。…まさか?「どうも。アボットです」
 この人かよ!欠損は右手ではなく、歯だったか。しかも残った歯も虫歯で黒ずんでおり、唇の両端にはカニのように白い泡がプクプク溜まっている。ちょっと恐いんだけど。
「…どんな女性かと思って緊張してたんですけど、なかなか個性的ですね」
「はははっ。企画は聞いてますんで素直にブスって言ってもらっていいですよ」
 人柄は良さそうだ。だからといって慣れるかどうかはわからんが。
「とりあえず、ホテルに荷物を置きましょうか」
「わかりました」
 池袋北口のビジネスホテルに入り、受付の女性スタッフに声をかける。
「今日明日、2人で連泊したいんですが?」
「大丈夫ですよ。えー、では、ダブルベッドのお部屋でよろしいでしょうか?」待て待て、ツインにしてほしいんだけど。カップル客だからと気を回してくれたのかもしれないが、ヤラないよ、とりあえず今夜はまだ。部屋に入り、アボットさんはベッドにごろんと横になった。
「気持ちいい〜。私、普段はお店で寝泊まりしてて、ちゃんと布団で寝てないんですよ」
「…家ないんですか?」
「一応アパートは借りてるんですけど、部屋がテレビに出れるくらい散らかってるんで」
ゴミ屋敷の主ってか。今回もぶっ飛んだブスを寄こしてくれたな、デッドボール! 大人になった今ならイケるかもと意気込んではみたが、こんな女性に3日で慣れるんだろうか?ひとまずメシを食いに出かけることにした。周りの人には、
「ずいぶんなブスを連れてんなぁ」という目で見られてそうだ。サンシャインまでやってきたところで、アボットさんが立ち止まった。
「ちょっと寄ってみません?何かイベントやってそうですよ」
「はぁ、そうですね」
まるで狙ったかのように『へんないきもの展』という看板が出ていた。アボットさん、オレを笑わせようとしているのか。しかし幸いというか、へんないきもの展はまだ始まっておらず、適当に館内をぶらついたあと、『ナンジャタウン』というアトラクションコーナーに入ることに。
「あれ、乗りましょうよ」
 アボットさんが選んだのは、2人乗りのいかにもなカップル用アトラクションだ。少し恥ずかしいなぁ。でも、暗いトンネルのコースを進むので他人の目は気にならないか。と思いきや、10 分後、アトラクションを終えたところで、ヘンな汗が流れた。出口に取り付けられた大きな液晶モニターに、オレたちの乗り物中の写真が映し出されていたのだ。他の客がマジマジ見ているし…。逃げるようにその場を離れ、餃子屋がずらっと並ぶフードコートに向かうと、アボットさんが『宇都宮みんみん』を指差した。
「みんみん、懐かしい。昔、宇都宮に住んでたことがあるんですよ」
「そうなんですか」
「でも問題があって居られなくなって、夜逃げみたいな感じで東京に逃げて来たんですよ」
 …何の告白だよ。まあこの風
貌、いろいろ抱えてそうだし、語りたいタイプなのかな? 愛情のあるセックスを目指すためには、じっくり話を聞いてやるのも大切かもな。サンシャインを出たあとは、彼女が行き付けだという大衆焼き肉店に向かった。ビールとサワーで乾杯する。
「では、乾杯」
「おつかれさまでーす」
 まだ初日だが、酒の力を借りれば意外と慣れるのでは。ぐびぐび飲もう。
「そのコリコリそろそろ焼けてますよ」
 焼き網の肉を直箸でつつくアボットさん。何かちょっとイヤだなぁ。やっぱ初日はシンドイか。
 とりあえず、さっきの続きを聞いてみよう。
「栃木から東京に来たのはいつなの?」
「2年前。で、デッドボールは誰でも入れるっていうから、働きだしたんですけど…。私、お客がいっぱいつくタイプじゃないんで」
 それはわかる。めちゃんこよくわかる。
「だから歌舞伎町にハイジアって売春エリアあるでしょ? あそこに立ったこともありますよ」
「マジで?」
「でも、初めて立ったその日に、警察に逮捕されたんですよ」
「すげー!」
 この運の悪さといい、ゴミ屋敷といい、つくづくパンチの効いた人だ。まだ一日目なので想像つかないが、こんなネーさんと愛情を持ったセックスなんてできるのかな。
 夜11時。ホテルに戻ってきた。そろそろ風呂に入って寝る準備をしよう。今日はまだ手は出さないので、ユニットバスに順番に入ることに。
アボットさん、お先にどうぞ」
「じゃあ、お言葉に甘えて」
 シャワーの音が聞こえてきた。このシーン、普通なら「やっぱりオレも一緒に〜」となるところだろうが、そういう気持ちはまったく起きない。30分後、ガウン姿になったアボットさんが現れた。湯上がりでちょっと顔色が良くなっているが、やはり口元が残念だ。そもそも何で歯が無いんだよ。
「…聞きにくいんですけど、どうして歯が無いの?」
「あ、これはまぁ、歯医者に歯槽膿漏だから抜いたほうがイイって言われたんで。…一応、こういうのも持ってるんですよ」
カバンをごそごそやりだした。取り出したのはグロテスクな入れ歯だ。
「これ、6千円だったんですよ」
何だかねぇ。オレはベッドにごろんと横になると、そのまま壁のほうを向いて寝た。