出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いやナンパに特化したブログです。

鬼ごっこ合コンという奇妙なイベント

お盆に大阪に帰省した。今や母親は、奇っ怪な生き物でも見るような目でオレを蔑んでくる。
「あんたはどうせ結婚できひんやろ」
「……」
「今ちゃんも岡村も結婚できひんし、あんたも無理や」
 なぜ芸人と並べるのかわからないが、とにかく母親ももうあきらめているのだろう。39才にもなってカノジョの一人も紹介したことのない息子のことを。この悔しさを晴らすため、地元の友人(既婚者)と一緒に琵琶湖の湖水浴場へ向かった。友人いわく「あそこは関西の若い子が全員集まっとるから選びたい放題やで」とのことだ。もうこうなればナンパでも何でもやってやる。
 現地の砂浜は、確かに若い子が多かった。男女ともに10代〜20代だらけだ。
 しばらく様子見してから、うろうろ歩き回り、タイプの2人組に声をかけた。
「おっさんら、何してんの?」
「こんにちは」
 この最初の行動がマズかった。工業高校を中退したばかりのようなガキども数人に囲まれてしまったのだ。
「おっさんら、何してんの?」
「何ってなんでもないよ」
「は? 俺らのツレに声かけてたやん」
「あー、ごめんごめん」
「はよどっか行けや」
 多勢に無勢。いそいそと浜のすみっこのほうに引き返し、それからはずっと湖を眺めることになった。
「赤澤、この歳でこんなとこでナンパやってるやつなんておらへんな」
「そやな」
「結婚せーへんの?」
「その前に彼女見つけんと…」
「それもそやな」
 高校を中退して肩にタトゥーを入れてるようなヤツらが晴れやかな青春を満喫し、将来のために我慢して暗い青春を送った者が、あいかわらず暗い日々を過ごす。なんだ、この無慈悲さは。
 片道2時間もかけて琵琶湖くんだりまで出てきて、砂浜でうちひしがれる一日だった。東京に戻り、鬼ごっこ合コンという奇妙なイベントに参加することにした。以前、お見合いパーティの鎌倉ハイキング版ではさんざんな目に遭ったのだが、今回はそれの鬼ごっこバージョンだ。
 わざわざ鬼ごっこなんてくだらない遊びに参加してまで、男を求めている女なのだから、出会い欲求は相当に高いものと思われる。当日、公営の体育館に集まったのは男女それぞれ15人ほどで、いつものごとく瞬時の赤澤チェックによって、狙いは3人に絞られた。どの子も20代で、そこそこの美形だ。軽い自己紹介タイムのあと、鬼ごっこ開始となった。システムやルールは面倒なので省くが、いわゆる普通の鬼ごっこではなく、2チームによる対戦形式の追いかけっこゲームだ。
 本日の主目的は出会いなのだから、勝ち負けはどうでもよい。しかしゲーム内で多少のアピールはしておくべきだろう。さて、どう動くのが正解か。てなことを考えているのはオレだけのようで、参加者はみんな作戦を立てたり励まし合ったりと、どうも本気の様子だ。アホじゃないのか。
 作戦は決まった。先ほど選出した3人のうち、同じチームになった子、ミキちゃんに集中して話しかけるとしよう。ありがたいことに彼女、Tシャツの首のところがダラリとして、ときおり谷間が見え隠れしている。イコール、スキの多い子だと考えられる。
 鬼ごっこは1時間半ほども行われた。
「オレ、右から攻めるから、左に回ってよ」
「オッケーです」
 だとか
「今の惜しかったね」
「あー、もー悔しいです」
 などと、さわやかな会話をミキちゃんと交わし、印象付けはバッチリ決まった。一歩リードしたことは間違いないだろう。他の男たちは鬼ごっこに夢中で汗ばかりかいているのだから。何をしに来てんだろう彼らは。カップリングタイムがないので、ゲーム後はフリートークで終了となる。すぐさまミキちゃんの元へ走った。
「これから食事でもどう?」
「あー、すみません。明日仕事早いんで」
 現在、時刻は21時。少しぐらいならいいだろうと思うのだが、本人が無理と言うならしょうがない。メアド交換だけして、服を着替え、体育館をあとにした。
〝今日は楽しかったね。また遊びましょう〞
 駅へ向かう途中、メールを打ってみたが返事は来ず、ちょっとすねながら歩いていると、入り口がオープンになっている若者向けの飲み屋に、さっきまで鬼ごっこをしていた男女数人の姿が見えた。
 そしてそこにはミキちゃんの笑顔も…。これはいったい何事なのだろう。明日の仕事が早いんじゃなかったのか。そもそもあの男どもは、いつどこで彼女を誘ったのだ。
(どうせサクラだったんだろ。あの男たちも実はスタッフなんだろ)
 と無理矢理な理屈で納得しようとしたのだが、どうにも気分が収まらず、手コキ付きマッサージですっきり落ち着かせてから家に帰った。ミキちゃんからの返事はまだ届いていない。