出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです。裏モノJAPAN監修の出会いやナンパに特化したブログです。

やたら死の話をしたがる変な娘と出会った話

新小岩にやってきた。東京の西部に位置し、駅前はパチンコ屋や焼き鳥屋が目立つ庶民的な街だ。どことなく80〜90年代の雰囲気を残したこういう街は、テレクラに活気があるものだ。
アポのときにゲームをやりつづる
 入室から10分ほどでコールが鳴った。
「もしもし。今日はどんな方をお探しですかね」
「楽しく…遊べる人ですね」
 ぼそぼそと元気のない声だ。小さくて聞き取りにくいな。声質からして若いようだけど。
「楽しくっていうのは?」
「ワリキリ…とかで」
 ワリキリ「とか」って、それ以外にないでしょうに。
「ワリキリでだいじょうぶですよ、これから会えますか?」
「近くなんですぐ会えますよ」
 彼女、駅前から電話をしているという。今日は仕事はないのかな?
「バイトはもう終わりました」
「バイトっていうのは?」
「トラックの仕事。荷台に積んでます」
 女性なのに肉体労働とは。声は細いけどガッチリ系なのかもしれない。
「もう駅前なんで近くに来てください」
 余計な会話はいいから、さっさとアポりたいってわけか。ワリキリ額はホテル代別1万5千円。名前はレナといい、年齢は20才だそうだ。
「ちなみに体型はどんなかんじですか」
「だいじょうぶです、細いですから。時間もちゃんと2時間くらいは取れますから」
 どこか冷め切った返答だ。言葉に心が入っていない。無機質なロボットのような感じとでも言おうか。
 待ち合わせ場所である新小岩駅前の自転車置き場に、スマホ画面をじっと見つめる一人の女が立っていた。
「レナさん、お待たせしました」
 スマホ画面から目を離し、こちらに一瞬目を向けると、彼女は無言でスタスタと歩き出した。挨拶もなしかよ。
 黒のTシャツに、黒とピンクのハーフパンツというラフな出で立ちのレナさんの髪は見事なプリン状態で、トータルコーディネートは元ヤンそのものだ。顔は元AV女優の堤さやかを5発殴ってシャブ中にしたカンジか。
 スマホ画面を見つめながらダルそうに歩く彼女に話しかける。
「家はこのへんなんですか」
「違う。家は茨城だから」
 スマホ画面を見つめたままボソっと答える。そっけないなあ。
「茨城?」
「ああ、仕事がこっちなんで」
 歩きながらパズドラを器用にこなす彼女だが、それなりの人通りがあるこのへんは危ないぞ。
「ぶつかりそうですよ」
 彼女はこちらを見ずに無言でスマホをポケットにしまった。にしてもアポのときにゲームをやりつづける女って、今までいたっけ?
 しばらく会話もなくラブホまでの道のりを歩いていると、彼女が茨城イントネーションでボソッとつぶやいた。
「やっぱ東京は人いっぱいだね」
「そうですね」
「東京は、どこ歩いても人がいる」
「東京はあまり来ないんですか?」
「うん。最近渋谷に行ったけど、私の居場所はここじゃないなって思いましたね」
 居場所はここじゃないって、
なんですかそれ。心に闇を抱えてる少女のつぶやきですか。ホテルに入り、腰をおろしてからあらためて彼女の顔を見ると、やはり若い。無気力な表情でドンキホーテを歩く家出少女のようだ。
 ソファの上で体育座りになった無気力さんは、すぐにタバコに火をつけた。
「若いのにテレクラなんてどこで知ったんですか?」
「職場ですね」
「トラックの荷積みでしたっけ?」
「そう。おばちゃんばっかりで、そこで教えてもらったんだよね」
「テレクラっていうサービスがあるからかけてみな、ってですか?」「そう。『援助交際みたいなもんだから』って言われたから、じゃあかけてみるか、って」
「けっこうテレクラでは会ったんですか」
「うん。でもいろんな人と会うのは怖いから同じ人と何回も会ってる」
「毎回こういうホテルに来て、ってかんじで?」
「うーん、そういうのもいるけど、ご飯とかディズニー行ったりだけのおじさんとかもけっこういる。私若いからそういうこと一緒にしたいんだろうね」
 確かに昨今のテレクラにおいて二十歳という年齢は最年少と言っていいだろう。デートだけでお金を払うおっさんがいるのもわからないではない。
「今日のお金は何に使うんですかね」
「…子どもですね」
「え、お子さんいるんですか?」
「いや、これから産みたいんで」
 聞けば彼女、すでに2年前に結婚しているのだという。
「旦那さんは何をされてるんですか」
「職人。足場つくってる」
「年は近いんですか」
「ううん、10コ以上離れてる。だから先にあっちが死ぬと思う」
 なんでいきなり死ぬ話になるんだよ。それも冗談っぽさが微塵もない言い方で。
「そんなの、まだまだ先の話じゃないですか」
「そうだけどさ、そういうのわかってて保険入ると保険金殺人になっちゃうんですよね」
「いやいや、そんな単純な話じゃないと思いますよ」
「違ぇよ。茨城は言われんだよ」
 とにかくわかった。彼女は出産費用を貯めるためにワリキリしているのだ。
「テレクラでお金をためてから出産するってことですね?」
「うん、でも医者には止められてるの」
「どういうことですか」
「けっこう堕ろしてるから子宮がボロボロなんだって。産めたとしても奇形児になるかすぐ死ぬよって言われてる」
 どんどん話がディープな方向に向かっている。これからセックスしようというときに、なんでこんなことになるのやら。
「堕ろしてるんですか?」
「最初は中2のときかな」
 無気力さんは、タバコを吹かしながら天井を見上げた。
「全部で3回。最初の中2んときが一番産みたかったんだけど、親から教師からみんなに止められてさ」
 再びタバコの煙をふーっと吹かした。
「そのあと、高校生のときに2回堕ろしたんだよね。あっ、3回目のときはもう高校やめてるか」
「そんなにゴムをつけなかったんですか」
「うん、別に産んでもいいって毎回思ってたから。でも絶対みんな止めてきてさ」
「まあ、わからなくはないですけどね」
「堕ろしたら堕ろしたでみんなから『人殺し』って言われてさ」
「そんなひどいこと言われますか?」
「違ぇよ。茨城は言われんだよ」
 違ぇよ、の部分に力がこもっている。茨城は普通じゃないんだよってことか。
「それで学校行かなくなって、いっぱい自殺しようとしてさ」
 中学時代の無気力さんは、飛び降りや首つり、薬などあらゆる自殺を試みてきたという。だが、どれも失敗に終わってしまった。あと一歩のところで周囲に気づかれてしまったのだ。
「飛び降りんときに全身打って動けなくなって。病院連れて行かれて、薬飲まされて外に出れない病棟に連れられてさ」
 中学卒業の直前に退院し、なんとか高校に入学する無気力さんだったが、またもや事件が彼女を襲う。
「高校入ったらさ、やっとできた友だちがラブホで刺されて死んじゃった」
「はあ」
「なんか元彼と揉めたらしくて。それをかばってた私の先輩がいたんだけど、その人も包丁で刺されちった」
 茨城弁で淡々とした口調で語られる彼女の生い立ちは、「死」の色に染まりまくっているようだ。
「なかなかすごい体験をしてきてるんですね」
「うん。でももうヤンチャはしないから。やっぱ20才にもなると落ち着くよね」
 元ヤンお決まりの台詞が登場した。空気を変えるために前向きな話題へ方向転換しよう。「たしかに、いまは子どもを生むって決めたんですよね。それは大きな変化じゃないですか」
 無気力さんが一瞬「フッ」とため息をついた。
「でもさ、それも無理かもしんない」
「はあ」
「地元の先輩がさ、最近子どものこと殺しちゃったの」
「え?」
「なんていうの? 育児放棄ってやつ?」
「いま問題になってますよね」
「うん。なんか、家に置いといてなんもしなかったら死んじゃったんだって。私だって子ども産んだらどうなるかわかんないもん。もともと人殺しだしさ」
 まったく方向転換にならなかった。むしろもっと深い闇へと落ちていくようだ。 タバコの火を消すと、無気力さんは黙って服を脱ぎ始めた。葬式のような暗い雰囲気の中、いよいよプレイが始まる。ぜんぜんノリ気がしないよ。
「だから私もそのうち死ぬと思う」
 無気力さんの裸体は、やはり若いだけあって肉感があった。怪我と自殺未遂を繰り返していたと言うわりには肌は荒れておらず、胸も普通にCカップくらいはある。
「もっとアザだらけと思ってましたけどキレイなんですね」
「うん。けっこうアザは消えたみたい。あ、でもここらへんは残ってるよ」
 指さした右肩から首の付け根を見ると、赤い斑点のようなものが集中して見られた。
「これは首吊りの跡かな」
「……」
 もはや何も言えない。
 お互いベッドの上に横になると、無気力さんはやる気なさそうに乳首をすりすりさすってきた。規則的なすりすり愛撫のあと、これまた心のないフェラへ。
「勃ったらこっちで入れちゃっていいですか」
 そう言うや、彼女がまたがってきた。
 それなりの締まりはあったものの、腰を動かしているあいだは終始顔を枕で隠して一切声を出さない。当然、そんな態度からはイヤらしさを感じるわけもなく、射精はできず仕舞いに終わった。
 淡々としたプレイが終わると、再び定位置で彼女はタバコをふかし始めた。
「子ども以外に夢はないんですか」
「車欲しいんだよね」
「車はがんばればすぐに買えそうですよね」
「うん。でも、どうせすぐにいじられっから」
「いじられる?」「そこらへんに車停めてるとさ、すぐに車上荒らしされっから。パーツも盗まれるしさ」
「そんなすぐにやられますかね?」
「違ぇよ。茨城はやられんだよ」
 茨城ってそこまで悪いところじゃないと思うんだけどな。
「車が好きなんですね」「ううん、もともとはバイクが好きだったんだけどさ」
 そうだよな、茨城の元ヤンならバイクが好きじゃないわけがない。
「バイクいいですよね」
「うん、でも…死ぬからね、バイクも」
 また出たよ。
「お友達が亡くなられたんですか?」
「バイクでいっぱい死んでる。ていうか、いとこが死んでる。だから私もそのうち死ぬと思う」
 無気力さん、もうその手の話はやめましょうよ。って言っても、その手の話しか身近にないんだろうけど。