出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです

モテないと中学時代の同窓会も哀れなり

さすがに晩メシが「はなまるうどん」では寂しすぎるだろうと、パスタ屋の五右衛門に行ってみたが、うどんがパスタになったところで寂しさは変わらず、さっさと食って部屋に帰ってすぐに寝た。人並みに大阪の実家に帰省することにした。母親たった一人だ
けが住むマンションだ。
 特に何をすることもなく、夜も居間のコタツでごろごろしていたところ、しょーもない動物番組を見ていた母親が話しかけてきた。
「慎ちゃん、赤ちゃんってええもんやな」
「……」
「なあ、聞いてるか。赤ちゃんカワイイやろ」
 テレビには、熊かなにかの赤ちゃんが映っている。
「ああ、まあ…」
「まあって何やの。人間の赤ちゃんはもっとカワイイんやで」
 なんだ、この下手くそな結婚しろアピールは。こっちは赤ちゃんどころか、彼女ができる気配すらないと言うのに。
 しかし冷静になって考えてみる。モテない息子を持った母親とはどういう気分なんだろう。やっぱり可愛らしいお嫁さんと、料理の会話なんかをあれこれかわしたいものなのだろうか。孫の成長を見守りたいものなのだろうか。
 なんだか自分自身より母親のほうが哀れになってきた。こんな38才に育ってすみません。
実家に電話があった。中学時代の同級生で、たったいま学年全体の同窓会をやってる最中だからヒマなら来いという。
 どうせなら事前にしっかり連絡してほしかったところだが、決して中心メンバーとはいえなかったオレなら、こんな誘われ方がお似合いなのかもしれない。
 すぐに自転車で居酒屋へと向かった。同窓会に呼ばれたのは人生で初めてのことだ。母親の寂しそうな横顔を思い出し、同級生との結婚も視野に入れつつペダルを漕いだ。
 会場の居酒屋では、すでに20人ほどの男女がガヤガヤやっていた。正直、顔と名前が一致するのは5人ぐらいしかいない。
 自己紹介しろと迫られ、中腰で挨拶する。
「どうも。赤澤です。お久しぶりです」
 パラパラと拍手が起き、いっさい声もかからぬまま着席した。そもそもオレの話をまったく聞いてない連中までいる。地味男子の扱いなんてこんなものか。
 辺りを見渡し、結婚の対象になりそうな女子を探してみる。みんな38才だけに立派なおばちゃんだ。興味がわきそうにない。
 向かいに座った、ガヤ芸人のようにうるさい茶髪のケバ女に話しかけてみる。
「おれのこと覚えてる?」
「赤澤君? ゴメン、覚えてないわぁ」
「そりゃ昔のことやし誰も覚えてないよね」
「野球部とサッカー部のイケメンなら覚えてるで。校舎から見てたし」
 サッカー部のオレを覚えてないってことは、イケメン認定されていなかったことになる。大阪のおばちゃんは平気な顔で失礼なことを言う。「東京にいんの? スゴイやん」
「いや、そうでもないんやけど」
「結婚は?」
「いや、なかなか彼女もできひんねん」
「ああ、わかるわ。自信なさそうやもんね〜」
 失礼二連発だ。大阪の片田舎のスナックで働いていそうな女に、こんなことを言われようとは。
 その後もあちこち席移動させられ、強制的に近くの連中としゃべらされたが、恋愛対象となるような女は一人もおらず、かといって懐かしい男友達がいるわけでもなく、居心地の悪い時間だけが過ぎていった。
 同窓会なんてものは、当時中心メンバーだったやつか、当時は地味でも現在羽振りのイイやつが参加すべき集まりであって、当時も今もパッとしない男にとっては地獄のような舞台なのだということがわかった。
 午後10時ごろ、二次会へと移動するみんなに挨拶もせず、オレは逃げるようにしてその場を後にした。自転車で受ける夜風はおそろしく冷たかった。