出会い口説きALLOK

デキル男のためのライフスタイルマガジンです

ガチンコナンパ体験記

4年に一度、渋谷の町が狂乱の渦に巻き込まれる日がある。
 サッカー日本代表がW杯を決定する日だ。
この日は一番ナンパに向いている日だろう。そんな夜のガチンコナンパ体験記です。

スタンドにはちらほら、女2人組が目につくものの、俺たちが入り込めるスペースはすでにない。
 空席を求めて右往左往するうち、後方のタネイチが声を発した。
「おっ、あそこにいるの良さげじゃない?」
 視線の先、はるかスタンド上段に、ユニフォーム姿の女2人組が小さく見える。そして折よく、彼女たちの真後ろには2人分の空席が。行くか!
 とっさの判断が功を奏した。座席をゲットし、じっくり女の顔を確認したところ、2人ともなかなかにカワイイのだ。お目目ぱっちりの長谷部(ユニフォーム)に、愛らしい小動物顔の
吉田麻也(同)。歳は20
代半ばってとこか。よしよし、悪くないですぞ。スタンドにはちらほら、女2人組が目につくものの、俺たちが入り込めるスペースはすでにない。
 空席を求めて右往左往するうち、後方のタネイチが声を発した。
「おっ、あそこにいるの良さげじゃない?」
 視線の先、はるかスタンド上段に、ユニフォーム姿の女2人組が小さく見える。そして折よく、彼女たちの真後ろには2人分の空席が。行くか!
 とっさの判断が功を奏した。座席をゲットし、じっくり女の顔を確認したところ、2人ともなかなかにカワイイのだ。お目目ぱっちりの長谷部(ユニフォーム)に、愛らしい小動物顔の吉田麻也(同)。歳は20代半ばってとこか。よしよし、悪くないですぞ。「よっしゃ、本田サイコー!」
 おれが吉田ちゃんに抱きつけば、タネイチも長谷部ちゃんの腰に手を回す。むろん彼女たちもはち切れんばかりの笑顔だ。そして終了の笛が。「超うれしいです.、ワールドカップ決まりましたよ!」
 このチャンス逃すものかと言わんばかりに、タネイチが動いた。
「いやーいい試合だったね。この後、4人で祝勝会しようよ」一瞬迷う素振りを見せてから、吉田ちゃんが口を開く。
「あ、じゃあ、ちょっとだけ」
 やったぜ、タネちゃん!タネイチがテキーラで好アシスト
 会場の外でタクシーを拾い、渋谷駅へ。すでに駅前は狂乱状態だ。
 あんなのに巻き込まれてはせっかくの獲物を見失ってしまう。素早くやり過ごし、適当なバーへゴーだ。
 乾杯したビールを一口すすって長谷部ちゃんがタメ息をもらす。
スクランブル交差点、スゴく盛り上がってましたね。さすが東京って感じ」
 彼女たち、今日の試合のためにわざわざ群馬から来たとかで、普段は同じ職場で働いているらしい。
「じゃ今日はどっかホテルでも取ってるの?」
「はい」
 ふーむ。となると、無理に2人を引きはがすより、全員でホテルになだれ込んだ方がいいかも。なんか脇の甘そうなコたちだし、そのまま4Pとかって展開もありうる。とにかくここは酔わせるに限るな。同じことをタネイチも考えていたようだ。やつがふいに口を開く。
「お、この店、パトロンがある
じゃん」
 即座に女どもが食いつく。
パトロンってなんです?」
「ハリウッドセレブに人気のテキーラなんだけどさ、めちゃくちゃ飲みやすくて美味しいんだよ。ちょっと試してみなって」知った風を装っているが、どうせそこらで聞きかじったのだろう。
 テキーラのショットを飲み干し、歓声を上げる長谷部と吉田。
「ホントだ。超オイシイ.」
「うん、飲みやすいねえ」
 そうは言っても、テキーラテキーラだ。そのうちコロッと酔いつぶれるぞ。タネイチ、ナイスアシスト!
 ところが、彼女たち、いくら杯を重ねても一向に酔いつぶれる気配がない。どころか、けろりとした顔でウィスキーロックや焼酎ロックをちゃんぽんしだす有様だ。なんだか、めちゃめちゃ強いんですけど。
「2人とも酒強いんだね」
「そうかも。いつも会社帰りに2人で飲み歩いてますから。こないだも朝までずっと飲んで大変だったよねぇ」
「うん、てか、そういうのしょっちゅう。あはは」
 気がつけば、バーに入って2時間以上が過ぎていた。これ以上ここに留まっててもしょうがない。
 おれ、テキーラのせいでかなり酔っ払ってるし。
「そろそろ出ようか」
「はーい」
 こうなったら強引にタクシーに放り込み、ホテルまで押しかけちまおう。そう思案して大通りまでやって来たところで、タネイチの姿が消えていることに気づいた。あれ、どこいったんだ?
「ここ、ここ.」
 少し離れたビルの物陰から情けない声が聞こえてきた。吐いてるようだ。ったく、何やってんだよ。
 呆れつつタネイチのもとへ駆け寄ったとき、背後で女どもの
「ごちそうさまでした」の声が聞こえた。2人だけでタクシー乗ってるし!
 結果、ノーゴール。試合開始すぐにOL2人組のそばに陣取ってはみたが、本田のPKシーンで軽く抱き合ったところがピークで、飲みの誘いは軽く断られてしまった。
 まあいい、今日の主戦場は渋谷だと決めていた。タテベ、渋谷へ行こうぜ!
 駅前では4年前に見たあの光景が広がっていた。なんだこれ、めっちゃ楽しそう! 建部なんかに構ってるヒマはない。単独行動に切りかえよう。
 信号が青になるたび、交差点に若い連中がなだれこみ、俺も私もとハイタッチ合戦だ。 テンションが上がってきた。抱きつきまくれそうじゃん! よし、オレも参戦だ。
「イェーイ!」 男どもが次から次へハイタッチしてくる。はいはい、あんたらはいいっつーの。
 おっと、女の子発見! ハイタッチだ。
「イェーイ!」
「イェーイ!」
 そのままギューと抱きつく。わーお、巨乳の感触。いただき!
「最高の日だねー」
「はははっ。ですねー」
 が、会話は続かず、彼女は普通に去っていった。
 お次は2人組の女の子へ。
「イェーイ」
 ハイタッチをカマし、2人の肩をガシっと組んだ。両脇にオッパイが当たってるぞ!
 そこで、まわりの男どもが一緒になって肩を組んできた。誰かが歌い始める。
「にぃっぽん、にぃっぽん、にぃっぽん。おい、おい!」
 全員で大合唱し、ピョンピョン跳びはねる。ああ髪の匂いとか二の腕の感触とか、これ全部タダで味わえるなんて最高!信号が赤になり、歩道に引き揚げたところで、髪の匂いを嗅ぎまくってやった2人に声をかける。
「いやー。まだまだ歌いたりないね」
「はははっ」
「もっと余韻に浸ろうよ。よかったら3人で軽く飲みにでも行かない?」
「うーん、今日はもう帰ります」
 あれれ、おかしいな。
 その後、109前交差点へも乗り込み、20人くらいの女の子と抱きあったが、飲みの誘いにはどのコもついてこなかった。なんだよこの狂乱、見た目だけじゃん。ごっつぁんゴール決めさせてもらいます
 バカ騒ぎしているうちに深夜
1時になってしまった。まだユニフォーム連中の奇声があちこちから聞こえるが、先ほどまでのお祭り騒ぎはすでに終わっている。
 着信が残ってたタテベに電話をしても、呼び出し音がなるのみだ。さてはあの野郎、ゴールを決めやがったか。
 こうなりゃ先輩のオレがノーゴールで終わるわけにはいかない。とことん歩き回ってシュートチャンスを探してやる。
 …いつしか白々と夜が明けてきた。さすがにゲームセットか。
 と思ったとき、視界に青いユニフォームが。いた。女の子が地べたにしゃがみ込んでいるではないか。
 ダッシュで駆け寄る。おっと、靴が片方脱げてるぞ、ねーさん。
「大丈夫?」
「……」
「ていうか、香川のユニフォーム、オレと一緒じゃん。とりあえず靴はきなよ」
「…ない。どこいった?」
「そっち落ちてるじゃん」
「あっ、あんた天才ぃ.」
 彼女はニヤニヤ笑っている。どうやら最後の最後、ロスタイムにPKを勝ち取ったようだ。やっぱ持ってるねぇ、オレは。家に帰りたいと彼女が言うので、とりあえず一緒にタクシーに乗り込んだ。
 まもなく到着したのは住宅街のマンションだ。神様ありがと
うございます。ごっつぁんゴール、決めさせてもらいます。
 一緒にエレベーターヘ。彼女が3階のボタンを押す。そして次の瞬間、
「もうここで」
 ぐいっと外へ押し出された。 あわててオレも▲ボタンを押してドアを開く。
「え、一緒に喜ぼうよ」
「ほんと、もう大丈夫なんで」
「………」
「ほんと、帰ってください」
 ボタンを押さえていた指を離すと同時に、ドアはゆっくりと閉まった。
 キーパー、守り堅すぎ!目を血走らせたセントウ先輩がスクランブル交差点の人混みに消えたので、1人きりになってしまった。とりあえずスポーツバーにでも入るか。
 適当な店の入口を空けた瞬間、耳が壊れそうになった。
「オー、ニッポーン!!」
 店にいる全員がコブシをふりあげて合唱している。ああ、うるさいうるさい。そんなのに混じる気はないからな。
 さてと、1人の女はいないかな。おっと、いたいた。
「長友ちゃん、良かったよ! カンパーイ(長友のユニフォームを着ていた)」
「えっ、イエーイ!」
「ホント良かったね、ワールドカップ決まって」
「ですね.。安心しましたよ.」
 そのとき後ろから「オイ」と太い声が聞こえてきた。色黒のシブヤ系ニイサンだ。
「俺のツレなんだけど」
 そうっすか。
 店内に1人きりの女はどこにもいなかった。外へ出ても同じだ。セントウさんに電話してみよ。なんだ、出ないよ。バカ騒ぎの真っ最中か。
 おや、あのビルの前に1人でうずくまってるのは、女じゃないか? またツレがいたりするの? 
 そろりと近づいて声をかける。
「おーい、気持ちワルイの?」
「……」
 そばに腰かけたら、ジュルジュルと鼻をすする音が聞こえた。泣いてる。こんなハッピーな夜に何があったんだ。それともうれし泣き?
「水飲む? オレ買ってくるし」
「……いらないです」
「とりあえず軽く飲んで落ち着
こうか」
「……電車乗りたい」
「え?」
「ここ離れたいんで電車乗って
もいいですか?」
 彼女がむくっと立ち上がった。
かなり地味な顔立ちだけど、シュートは打っておこう。
彼氏が出たら退場、
出なければPK獲得
 一緒に渋谷駅へと向かう。
「泣いてたみたいだけどなにか
あったの?」
「ちょっと彼氏とモメて。あ、もう彼氏じゃないですけど」
 なんのこっちゃと聞いてみたら、さっきまで彼氏と一緒にスポーツバーで観戦していたのだが、彼氏が色んな女の子と抱き合うのを注意したら、逆ギレされ、背中を蹴られたんだそうな。
「もう別れるからどっかいけ!って言われて……」
 ひどい男がいたもんだ。そりゃ泣くしかないね。
 山手線に乗って池袋へ。ここからなら歩いて20分で帰れるそうなので、西口駅前の植え込みに座って会話することに。
「サッカー好きなの?」
「そうでもないです。誘われたから観に行っただけで」
 香川のユニフォームは着てるけど、どんな選手かは特に知らないらしい。
 先ほどからケータイを気にしている香川ちゃん、彼氏からの連絡を待っているのだろう。
 来ないね。きっと来ないね。だって背中を蹴飛ばすような男だもん。今ごろ、他の女とイチャイチャしてるっしょ。
 コンビニで缶チューハイを買い、二人して彼氏の悪口を言い合う。やれ最低だ、やれ別れるべきだ。今日ゴールを決めるための、思いをすっかり断ち切らせる作戦だ。
 それでも香川ちゃんはケータイを手に握ったままだ。
「気になるなら、電話してみたら?」
「えー……」
「向こうも待ってるかもよ」
 ギャンブルに出てみた。これで彼氏が出たら退場、出なければPK獲得だ。
 香川ちゃんがケータイを耳にあてる。出るな、出るなよ!
「…出ないし」
 よし、もらった! じゃ、歩こっか。
 と、手を取ってラブホ街へ向かった。歩きながら香川ちゃんが手に持った缶チューハイをぐっと飲み干す。
「あー、最悪ーっ」
「そうだねー、ま、でもいいじゃんっ」
「もーサイアク!」
 サイアク連発の香川ちゃんも、ベッドでは予想に反して積極的だった。いわゆる腹いせってやつなんでしょうか。
 結果、ワンゴール。